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2023.03.20
ピアノコンクールの審査ポイントと練習方法について
東京ルクスピアノ教室講師の和泉です。
今年度も早いもので 3 月になりました。
ルクスの生徒さんが日々ピアノを頑張っている姿を、大変嬉しく思っております。
中には、来年度のコンクールに向けて準備を進めている方もいらっしゃることでしょう。
今回は、コンクールについて、審査をする観点からお話をできればと思います。
日本クラシック音楽コンクールの審査を終えて
去年の 10 月に、日本クラシック音楽コンクールの本選を審査してまいりました。
通称「クラコン」と呼ばれており、部門はそれぞれ、幼児、小学校低学年(1・2 年生)、小学校中学年(3・4年生)、小学校高学年(5・6 年生)、中学校、高校、大学、一般の部に分かれています。
私は、幼児部門から一般部門まで、全ての部を審査しました。
その日は毎日新聞社主催の全日本学生音楽コンクール(国内屈指のレベルの高いことで有名な、学生のためのコンクールです)の本選が近いこともあり、熱意と迫力ある演奏が続く、大変レベルの高い一日でした。
コンクールでは、どこで順位の差がつくのか
審査をおこなう中、みなさん大変よく準備をしてきているのが伝わる演奏でしたが、どこで順位に差がつくのか、そこに焦点を当ててお話したいと思います。
コンクールの審査基準は大きく分けて次のように分けられます。
- 曲の完成度
- 選曲(曲の難易度)
- 表現力・構成力
- 音量
それぞれの項目ごとに説明していきましょう。
曲の完成度
曲の完成度とは、簡単に言ってしまえば、完璧に弾けているか、傷が無い演奏か、ということです。
コンクールは一人ひとりに点数が付き、その点数に基づいて順位が決まります。そのため、ミスタッチや曲の途中で止まってしまうなどの行為は減点対象となってしまいます。
演奏の舞台で力が発揮できるよう、本番の 2 週間前くらいからは、毎日通し(本番のようにお辞儀〜演奏〜お辞儀まで全てを続ける)練習をすると良いと思います。本番と同じ環境になるべく近づけ、舞台で演奏している自分をイメージしておきましょう。
選曲
演奏するお子様のレベルに相応しい曲であるか、また、その年齢に相応しい曲かどうかも審査の対象になります。
難しい曲にチャレンジしたばかりに完成度が落ちてしまうのは一番避けたいことです。
ただ、コンクールとなると、簡単すぎる曲を完璧に弾いても点が伸びない傾向があります。この部分に関しては、ぜひピアノの先生と相談をしながら選曲をすると安心でしょう。
表現力・構成力
表現力は、音楽家にとって一番重要な要素になります。
同じ曲でも奏者が違うと雰囲気が異なるように、その人の内面が表れます。聴く人に何を伝えられるかが鍵となります。
そのためには、作曲家がどんな想いを込めて作品を書いたかを理解し、強弱記号や曲の構成を分析することで、聴く人に納得感を与えられる演奏にしてください。
この曲はどんな時期に書かれたのか、そしてその時代・その国の情勢を調べてみる等、作曲家の思いに近づくように分析をすると、説得力のある演奏に繋がります。また、自分でその曲の物語を考え、楽譜に書き込む練習方法もお勧めです。
音量
ピアニストは普段練習しているピアノではなく、その日出会ったばかりのホールに置いてあるピアノで勝負をしなければなりません。
ピアノのメーカーも様々ですし、ホールの大きさ、音響によって、ピアノのタッチは全く違ってきます。
コンクールでも全く同じで、弾き始めてから「あ…このピアノ弾きにくい…」となるケースも珍しくありません。このように動揺してしまった時、みなさん音量が小さくなる傾向があります。しかし審査員はホールの後方の席に座っている事が多く、何を表現しているかが伝わらないと「表現力」の点数には結びつきにくいのです。
そのため、普段の練習の時から、ホールの一番後ろの席に座っている人まで響かせるイメージを持つと良いでしょう。
また、理想のテンポよりゆっくりのテンポで練習することで、打鍵がしっかりしてきます。この練習をする際には、必ず音楽的に弾くことを忘れないよう心がけてくださいね。
コンクールを通じて豊かに成長していただきたい
ここまでコンクールにおける審査ポイント、そして練習方法をご紹介してきました。他にも様々な練習方法があり、書くとキリがありません。
しかし、なによりも本番では細かいことは気にせず、伸び伸びと演奏をしてきてください!
不思議なことに、音を楽しみ、ホールにいる人たちに自分の音楽を伝えようとしている演奏は、審査員の心にも伝わります。
普段の家やレッスン室とは違う環境で演奏できることに喜びを感じ、音楽を楽しむ心を大切にしてください。
コンクールに挑戦する生徒さんたちの豊かな成長を願っています。
東京ルクスピアノ教室 講師 和泉貴子
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